今国会で与野党の最大の対立点と言われるガソリン税をはじめとする道路特定財源の暫定税率問題。やはり走路特定財源は不公平税制そのものだったようだ。総務省が行なった道路特定財源の暫定税率が廃止された場合の影響試算でも明らかになった。
それによると、最も影響が大きいのは北海道の758億円、それに続いて愛知563億円、東京505億円、埼玉415億円など。北海道はともかくも上位に並ぶのは、税収豊かな都市部を抱え、財政規模が大きな都道府県となる。だが、道路整備費用に関する影響は財政規模が小さい地方の自治体だそうだ。
それが何を意味するか。道路特定財源は、受益者負担の原則に基づき、道路を利用する自動車ユーザーから道路整備費用を徴収するために生み出された。制度スタート時はまだ納得がいったが、その後の都市化と過疎化の人口の偏りで、都市部の生活者が支払った税金が、都市部の道路整備に向かわず、地方の道路整備に向かっている、という負担者と投資先のアンバランスが生じている。1人のユーザーで見ると、同じ負担をしていても、道路整備で還元されていないことになる。この費用負担の不公平感は、道路特定財源の問題を取り上げるたびに、日本自動車工業会など指摘し続けてきた。
さて、道路特定財源になっている地方税と地方譲与税を合わせた地方全体の減収額は、9064億円(2008年度地方財政計画ベース)になると、総務省は試算する。ちなみに減収の影響が最も少ないのは鳥取の52億円、次いで高知60億円、和歌山64億円など。道路特定財源の暫定税率が3月末で廃止されると、減収額は少ないが、もともと元税収が少ないだけに生活道路を維持することも厳しくなる。
暫定税率を継続するか、打ち切るか、論議は分かれるところだが、指摘した不公平を含め、現行制度でさまざまな矛盾点が出てきている。日本の将来をどうするか、腰折れした景気を含めて、真面目に政策論議をしてもらいたい問題は多数ある。この道路特定財源の暫定税率もそのひとつであることは間違いない。
【行政ウォッチャー】
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