一般記事
ガソリンスタンドを電気自動車(EV)の充電場所に利用する実証実験が、神奈川県や青森県など、全国のEV、プラグインハイブリッド車(PHEV)の普及モデル地域で始まっている。青森県ではEVに専用カーナビを搭載し、カーナビに充電器設置場所とその空き情報を提供するという初の試みも実施している。
スタンド空き情報の提供は、充電のために並ぶ時間待ちを削減することを狙ったものだ。CNG(圧縮天然ガス)自動車では、スタンド数が少ないために燃料の充てんに列をなす。とりわけ営業車の運転者にとっては充てん作業が負担になり、使いづらいと言われる原因のひとついになる。
こうした不便さの解消が実験の狙いで、スタンドの使用状況について空きあり、一部使用可能、使用中および営業時間外で色分けしてカーナビに表示し、充電器の種別なども分かるため、EVドライバーは利用可能で空いているとこで充電すればよいことになる。
ただし、実証実験では充電器の設置が青森市内で計11カ所、うち1カ所が急速充電に対応した設備になる。一方、利用する側、専用カーナビ搭載のEVは8台。重なっても列をなすことは起きそうもない。
【DANN編集長】
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電気自動車の普及には車体と電池を切り分けて、車体本体はユーザー買取で、高額になる電池部分はリース方式により低料金で提供することが必要になる。現行法では認められないが、日産自動車だけでなく、ベネッセコーポレーションやガリバーなどが出資した電気自動車の新会社、SIMドライブなども同様な方式で電気自動車の普及を目指す。
SIMドライブの関係者によると、普及を目指すインホイールモーターの電気自動車の価格は150万円以下。一方、その電池代は、電気自動車に適合しなくなった電池を2時利用することを前提に年額6万円程度になると話している。
SIMドライブの電気自動車はオープンソース方式で、SIMドライブがライセンスを供与し、関心があるメーカーがそのノウハウを元に実際に製造するビジネス・モデルになる。提供されるのはインホイール式電気自動車のプラットフォームで、この上に往年の名車のボディーを乗せて、電気自動車として走行することも可能だそう。
それで車体が150万円以下、電池代が年間6万円なら普及は見込めそう。電池代は月額にするとわずか5千円、ガソリン代より安いかもしれない。あとはこれを認めるかどうかの国の方針しだいというになる。
【DANN編集長】
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首都圏のマンションで住民向けのレンタサイクル(貸自転車)を設置する物件が増えている。販売効率を高めるための駐車場の面積の削減とこれにともなう住民の不便性を解消、そして自転車でそのマンションが「エコな環境」であることをPRするためだ。
東京都などの首都圏では、他地域からの人口流入が続き、東京湾岸に立ち並ぶ高層マンションや郊外の駅隣接型マンションなどと、さまざまなマンション建設計画が進んでいる。こうしたマンションの駐車場付帯率は、「億ション」と呼ばれる高級マンションでは戸数に対して150%という物件もあるが、ほとんどが30〜70%の間で設定されている。マンションを購入したとき、駐車場がなく自動車保有を断念せざるを得ないケースも多い。
そうした中での利便性を補うのがレンタサイクルで、ほとんどが電動アシスト付自転車で設定されている。住民にも好評で、エコブームに乗って住民の自尊心をくすぐる。住宅物件でも消費者は環境への関心が高く、大手のマンションデベロッパーもエコなマンション建設に力を入れ始めている。
もともと公共交通機関が発達している首都圏、自動車保有のメリットは薄いが、それに輪をかけてエコなライフスタイルの提案が、自動車離れに大きく影響している。地球環境問題への関心が高まりと、エコな暮らしの提案の中で、構造的な自動車離れが進んでいるようだ。
【DANN編集長】
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乗用車で最大25万円の補助金がもらえるエコカー購入補助制度が、米国の圧力、いわゆる外圧で見直されることになった。経済産業省は19日、これまで対象外となっていた簡易な輸入制度で輸入される自動車についても要件を満たせば対象とすることとし、即日付けで実施した。
エコカー購入補助制度は昨年4月以降の販売車を対象に実施してきた制度で、同時にスタートしたエコカー減税とともに国内新車市場を回復させることを狙った。対象となる新車は、燃費基準や排ガス性能で一定基準を満たしたものだが、対象に米国車は1車種も含まれていない。そこが米国側の不満になっていた。
背景には、同制度がスタートした時点で欧州車も含めたインポーターは、正式な型式指定を取るための費用などとの兼ね合いやブランド力への確信などから同制度の影響を軽視していたことが指摘できある。実際、年間輸入台数が2000台以下の自動車に適用されるPHP(輸入自動車特別取扱)制度で輸入し、販売されるものが多く、欧州車でもこの手続きで後れをとった。
もちろん購入補助制度は貿易障壁で作られたわけではない。経済産業省はあくまでも経済対策と強調、簡易な制度で輸入される自動車についてもその対象にしたと説明した。現地で測定した燃費性能を国内基準で読み替え、対象とするなどの措置をとる。PHP制度で輸入された米国車は昨年2,000台、そのうち700台程度が対象と見込まれるそうで、政府の補助金負担も米国からの貿易という面でも大きな影響はなさそうだ。
【DANN編集長】
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新年早々の賀詞交歓会、正月恒例の行事も政権交代で風景が変わった。なんと言っても顔を出す国会議員は民主党が中心、しかも会場の中央を占めるようになった。昨年は任期満了に伴う衆院選を控えて、自民党の大物議員が賀詞交歓会会場を回り、選挙の応援を呼びかけたが、今回は7月の参院選に向けて民主党議員が会場で支援を呼びかける。
風景を180度変えたひとつに日本バス協会の賀詞交換会がある。公務で送れたものの前原誠司大臣はじめ馬渕澄夫副大臣、三日月大造政務官の国土交通省三役が顔をそろえたばかりか、松野頼久内閣官房副長官をはじめ高嶋良充筆頭副幹事長、細野豪志副幹事長・組織委員長兼企業団体委員長、広野ただし副幹事長、さらには海江田万里衆議員までと豪華メンバーの民主党議員が続々と登場した。
バス業界、政党支持は昔からおおらかだったそうで、「その分、選挙になると(支援が足りずに)後とで怒られる」と、業界の重鎮が解説してくれた。
あいさつで、堀内光一郎日本バス協会会長が「民主党の先生、国土交通省の皆様には高速道路の無料化、税制・予算で大変ご理解をいただき、ご指導、ご支援をいただいた」と謝辞を述べれば、遅れてきた前原国交相は「予算案にバスに対する予算もしっかり付けさせていただいた。高速道路の無料化も民主党政権の社会実験の第一段階、それほど心配することはない。皆様の意見を聞いて修正すべきは修正する」と応じた。交代しても「業」と「政」の結びつきに揺らぎはないようだ。
【バス狂】
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トラックなどのディーゼル車用の低公害な燃料として開発が進められてきたDME(ジメチルエーテル)が、バイオ燃料のひとつとして認知向上を目指すことになった。いすゞ自動車やトタルなどの民間企業数社で作るDME自動車普及推進委員会は、天然ガス由来のDMEに木質系バイオマスを原料に合成したDMEを混入したDME燃料で走行実験を行うことを決めた。国民放送で放映し、社会的な訴求を目指すという。
環境問題といえば、いまは温暖化防止、CO2排出削減一辺倒で、ディーゼル排ガス問題はすでに過去のものといった観がある。
一方でDMEは、中・小型トラック用ディーゼルエンジンに対して燃料からアプローチすることでの排気ガスの低公害化を目指したものだ。燃料を変えることにより車両価格を抑えてクリーンディーゼル化が達成できるのだが、社会的に注目されなければ、行政サイドも無関心を装い、せっかくの世界最先端技術も無に帰してしまう。そこでバイオDMEで注目を集めようという狙いだ。
現時点で高性能のDMEエンジンを開発できているのは世界で日本だけ。しかし国内市場は無関心で、トラックのクリーン化ももっぱら地球温暖化の視点から電気自動車やハイブリッド化で取り組むことに対して関心を示す。バッテリーと荷物の両方を積むことの効率など、冷静な論議は日本では省みられることがない。
【DANN編集長】
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今年、電気自動車の本格販売に乗り出す日産自動車。電気自動車の普及支援策など検討している経済産業省だが、その高官は「日産が薄型テレビで出遅れたソニーの轍を踏むのではないか」と真顔で心配する。
最大の懸念材料は、日産が電気自動車開発に資源を集中し過ぎていることだ。「世界がしのぎを削って技術開発しているものは、どう変化するのか先が読めない。企業として開発の間口を広げておかないと技術の変化に対応できない」と先の高官は述べ、「ソニーの轍を踏むのでは」との警鐘を鳴らす。
電気自動車は、現在の電池性能から見て距離の短い交通に使うのがベストと主張するメーカーもある。それが、トヨタ自動車が選択した戦略で、ユーザー向け車両としては「電気走行+ガソリンハイブリッド」のプラグインハイブリッド車を開発し、コストを下げて普及を目指すことにした。もちろん同時に電気自動車の開発も取り組んでいる。
いずれにしてもプラグインハイブリッド車を選択したトヨタ、一方、電気自動車に社運をかけたと言える日産自動車、この両社のエコカー対決がどう決着するのか、見ものであることは間違いない。
【DANN編集長】
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業界団体がまとめた2009年の新車販売は、登録車が2,921,085台で対前年比9.1%減、軽自動車が1,688,170台で同9.7%減、登録車・軽自動車を合わせると4,609,255台で同9.3%減、500万台ぎりぎりの水準だった08年より1割近く新車市場が縮小した。エコカー減税や新車購入補助があってもこの程度、なかったならばさらに悪化していた可能性は大きい。
リーマンショック後の世界同時不況の影響か、日本市場の構造的な問題なのかは定かでないが、今年も厳しさは増しそうだ。日本自動車工業会は、2010年の市場は反転して、登録車・軽自動車合わせた総販売台数は480万台弱まで回復すると昨年末に予測している。しかし、神風が吹かなければ市場の反転は難しい。
一番の問題はボーナスの減少だ。賃金カットでローンが組めず、自動車を手放す若者が増えている。また民主党の公共事業削減策もあだ花だ。派手好きな土建業界など大型車を好んで乗る層が、公共事業削減のあおりでローンが通らないという状況が続いている。
それに加えて、エコカーを中心にした自動車メーカーの商品構成も自動車の魅力を減じている可能性もある。話を聞いてみると、ハイブリッド車の面白みの少なさを指摘し、車歴が13年を過ぎた今の車で十分、というクルマ好きの中高年も結構多いのだ。
【DANN編集長】
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