一般記事
日産自動車の5人乗り電気自動車「リーフ」の販売価格が30日、発表された。値段は376万円からで、国の助成措置などを勘案すると299万円からになる。4月1日から予約を受け付けて12月から販売を始める、と電気自動車での先端イメージを強調する発表会が、神奈川県横浜市の日産本社で行われた。
そのとき経済産業省では、日産自動車の子会社で新車整備や事故車修理を行っている日産サービスセンターが下請事業者を不当に取り扱い、支払い代金の減額を強要していたとして、中小企業庁と関東経済産業局が公正取引委員会に対して事実調査を行ない、必要な措置を取るよう要求したとの発表が行われた。
業界用語でいう「レス」(一定率による値引き)の問題で、昨年2月から今年1月までに下請事業者35名に対して総額2365万円の値引きを強要していたという。技術開発の先端分野では、華々しく花火を打ち上げ、先進的な企業イメージを作りあげるが、わずかな下請金額まで絞らなければならないほど、日産自動車の本業の事業環境は厳しいものがある。
ちなみに「リーフ」の376万円はバッテリーのみの価格といわれる。売れば売れるほど損をすることになりはしないか、気にかかる。
【DANN編集長】
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地球温暖化防止施策を示した環境省の「中長期ロードマップ」の運輸部門の想定数字に日本エネルギー経済研究所の研究者が非現実的だと問題提起した。中長期ロードマップでは、燃費改善の想定を小さく見積もっているにもかかわらず、CO2排出削減では大きな効果を見込んでいるというもので、都内のホテルで開かれた「自動車とエネルギーに関するワークショップ」(日本自動車研究所主催、日本エネルギー研究共催)で明らかにした。
2020年の乗用車の燃費改善について、05年比で13%改善と想定、15%削減から25%削減までの3段階でCO2排出量を1億8100万tから1億6000万tと見積もっている。これに対して日本エネルギー経済研究所のシミュレーションでは、28%改善と高めの燃費改善を見込んでいるにもかかわらず、排出総量は2億tにとどまるという。
違いの背景には、ロードマップが過去のトレンドの直線回帰のみの推計で、高速道路無料化の影響なども加味されていないようだと指摘。また、「1人当たり自動車年走行量1割減」という想定数字の根拠も示されていないという。今後、カンドカー需要が伸びないことが見込まれ、1台当たりの走行距離は伸びるとも反論する。
とはいうものの、次世代自動車普及に関わる数字は、環境省も、経済産業省もハイブリッドはどちらも120万台、電気自動車に関しては環境省が67万5000台で、経済産業は80万台と、経産省がやや高めだ。ロードマップが拙速だったのかどうか。数字の違いの背景は、両省の政策目標の違いが影響していると勘繰りたくなる。
【DANN編集長】
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環境省が地球温暖化防止対策の主要施策を示した中長期ロードマップのたたき台が示された。自動車関連の対策は、2020年までに次世代自動車の販売を2005年実績の6万台から250万台に引き上げるとの方針を提示している。
次世代自動車とは電気自動車やハイブリッド自動車のほか、燃料電池自動車や天然ガス自動車を含んでいる。全255モデルのうち76モデルをこうした次世代自動車化。次世代自動車とE10(バイオエタノール10%混合)ガソリンの対応車を含む「環境対応車」をすべての車格で選択可能にするそうだ。
次世代自動車化とすべての車格で環境対応車を選択可能にするとの目標は容易に達成できそうだが、販売目標はどうなるか。2020年の総販売台数を490万台と想定しており、250万台は総販売台数の半分以上という数字。うち電気自動車は67万5千台、ハイブリッド自動車で120万台を見込んでいる。
電気自動車は電池価格の引き下げがカギ。次世代自動車の約半分をハイブリッド自動車で、とロードマップは描いているのだが、ハイブリッド自動車の最大のネックは、製造に関わるCO2排出が同じ車格で比べると約3割増となることだ。マイカーの走行距離は低下傾向を示しており、製造にかかわるCO2排出の増加分を廃車になるまでの走行で回収できるユーザーは限られる。CO2排出の総トータルが減るのかどうかは微妙、長く乗り続けるほうが効果的なケースもありそうだ。
【DANN編集長】
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カナダ・アルバーター州政府が日本および東アジア地域に対して、石油資源の販売に積極的だ。これまで原油資源の最大の供給先だった米国の需要が、今後、横ばいから減少に向かうと見られるためで、新たな資源供給先の確保に動き出した。
アルバーター州にある原油資源は、オイルサンドでと呼ばれるものが中心で、自噴する中東の油田などと比べ、取り出すコストはかかるものの、確認埋蔵量はサウジアラビアについで世界第2位だそう。リーマンショックで生産が落ち込んだものの、今後は日量50万バレルまで生産を引き上げ、原油供給の拡大で地域経済の活性化を図る計画がある。
この一環でパイプラインの整備も進めており、カナダ西海岸から大型タンカーへ船積みするためのパイプライン周辺施設の整備も進めている。売り込み先としては、日本はじめアジア諸国を考えており、すでに韓国企業の中にプロジェクトに参加し、開発投資をする意向を表明している。
中東依存の高い日本にとってもコストは高いが、カントリーリスクの低いカナダ産原油は魅力的で、エネルギー安全保障につながる。カナダに限らず、積極的に化石燃料資源を供給したいという国は多く、「資源(原油)は有限」などと言われているものの、まだまだ内燃機関の時代を続けることは可能なようだ。
【DANN編集長】
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日産自動車の本格電気自動車「リーフ」、発売前のプレイベントで市場の盛り上げを狙っている。日産自動車の本社誘致に成功した神奈川県横浜市は、3月20日の午後2時より、横浜駅近くのNISSANホールで電気自動車をめぐるトークイベント「電気自動車が拓くゼロ・カーボンシティ」を開き、市民に関心を持ってもらう。
日産の「リーフ」は北米で今年9月下旬、日本では11月下旬に発売開始となる予定で、年度後半の投入になるものの、「リーフ」について日産自動車は今年度1万9000台の世界販売を見込んでいる。
この発売を前に熱心な取り組みを見せる横浜市は、1年前から「ヨコハマ・モビリティ“プロジェクト・ゼロ”」(YMPZ)を立ち上げ、電気自動車の使用環境整に取り組んできた。今回のイベントでは1年間の成果を踏まえ、低炭素社会の新たな交通体系を提示、電気自動車の試乗会なども行う。
今年11月にはアジア・太平洋地区の各国首脳を集めた国際会議、APECが横浜で開催される予定。環境先進都市をアピールする格好に機会ではあるのだが、前任の中田市長が取り組んだ「ヨコハマ開港博」は大赤字、電気自動車普及策で市の財政負担が拡大しないのかどうか。これまで繰り返されてきた低公害車の普及活動で、自治体が財政に詰まると低公害車普及関連予算はすぐに切り捨てられてきた。電気自動車に期待を寄せるのもよいのだが、期待が大きいと失望感も大きいものとなるようだ。
【DANN編集長】
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自動車鋼材の値上がりが必死な状況だ。長年の貸し借りで落としどころを決めてきた自動車メーカーと鉄鋼メーカーの鋼材交渉だが、今年は例年通りとは行きそうもない。
背景には中国、インドといった新興国の鉄鋼需要の急増が背景にあるからだ。ブラジルの資源大手のヴィアーレは、国内鉄鋼メーカーに09年度比90%の以上の鉄鉱石価格の値上げを通告。しかも4〜6月間の価格で、これまで年度で提示してきた価格を4半期ごとに変えた。すでにオーストラリアの資源大手、ピリトンも4半期ごとの価格提示に代わっている。資源の世界市況が上場基調となることを見込み、提示価格の期間を短くした。
石炭も55%の値上がりしており、90%の鉄鉱石価格の値上げを受け入れると、これだけで自動車用鋼板価格はトン当たり2万円の値上がりになる。昨年度の鋼材交渉で自動車側は3万円程度の値下げを見込んでいたが、その半分の値下げで決着したと見られている。本来ならば残り分を取り戻したいところだが、自動車国内生産が弱含みなこともあり、自動車メーカー側も強気な対応ができない状況にある。
水準を決めるトヨタ自動車と新日本製鉄のトップ企業による交渉は、決着をするまで長引くことになりそう。資源価格は上昇基調にあり、日本自動車メーカーの国際競争力の原点となるコストダウンも、そろそろ限界が見え出したといえる。
【DANN編集長】
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エコカー購入補助金と減税で息を吹き返しつつある新車販売だが、新規受注が息切れし始めている。補助金と減税の政府施策の追い風に乗りすぎて、どうやら需要の先食いしてしまったようなのだ。2月の新車販売は軽・登録車合わせて45万8千台あまりで前年比20.4増の伸びだったが、3月の販売数字に結びつく「新規受注は頭打ち」との現場の声もある。
新車販売は08年秋以降の落ち込みが急激だったため、ここ最近の数値は急激に回復しているかに見えるのだが、本格回復とは言い難い状況のようだ。
新車販売の息切れはボリュームゾーンの登録乗用車で顕著だ。購入補助金と減税で回復、昨年9月以降前々年の販売実績を上回ってきており、昨年12月は07年12月の実績に対して12.0%増もの伸びとなった。しかし、今年1月には前々年対比の伸び率は2.7%増に低下、逆に2月は5.6%減とマイナスに戻ってしまっている。
問題は3月の回復水準にある。09年3月実績対比では上回ることは確実だが、前々年との比較でどうなるか。補助金と減税をテコに新規受注を刈り取れば、それなりの実績にはなるのだが、需要の先食いを繰り返すと、補助金打ち切りとなる今年10月以降の反動が深刻になりそうだ。
【DANN編集長】
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LPガス自動車、DME(ジメチルエーテル)自動車のガスエネルギー自動車が、環境型次世代自動車として生き残るために必死だ。それぞれ事情は異なるが、タクシー用車両で普及したLPガス自動車の関係者は、政権与党の民主党議員や行政関係者に働きかけ、クリーンエネルギー自動車として確かな位置づけを求め、働きかける。
一方、新エネルギーとして将来の期待がかかるDME自動車の推進者は、経済産業省が着手したエネルギー基本計画の見直し作業に意見を提出し、DMEがクリーンでエネルギー安全保障にとって欠かせない燃料であるとした存在証明を求めている。
背景には温室効果ガス25%排出削減の目標を掲げ、原子力発電の推進に前向きな鳩山首相をはじめとする民主党政権に対する危機意識がある。
原発を推進すると、電気需給をバランスするための蓄電機構が必要になる。プラグインハイブリッド車や電気自動車といった次世代自動車は、走る蓄電池としてその普及に期待がかる。「スマートグリット」などと呼ばれる電気エネルギーの需給システムがそれで、原発推進の全体システムの中で電気自動車が持ち上げられ、天然ガス自動車はともかくもLPガスやDMEは次世代自動車政策の外側に置かれてしまいそうな状況にあるのだ。ただ、これらを推進するのは少数派、声もなかなか通らないのが現実だ。
【DANN編集長】
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ハイブリッド自動車(HEV)や電気自動車(EV)の次世代自動車普及で自動車に採用されるキーデバイスも変わり、使用する材料も変化する。マーケティング会社の富士キメラ総研がまとめた「次世代自動車キーマテリアル世界市場調査」によると、HEV、EVの構成部品材料市場は09年で927億円だったが、今年で1258億円、2020年には09年比8.2倍の7639億円に拡大する見通しだ。
基礎となる両次世代自動車の生産は、09年は日本国内で71万台、世界市場で77.8万台。世界生産は今後も順調に拡大するとして、世界生産は2015年に410万台を超え、2020年には総世界生産台数(9940万台)の7.2%〜10%にまで拡大する可能性があると予測する。部品では、モーターが09年の146万個から2020年には1063万個に、ニッケル水素、リチウムイオンを合わせた電池は78万5千個が727万個にもなるそうだ。
現時点で次世代自動車の中心は日本で、構成部品材料の90%強を日本が消費してきたが、将来の次世代自動車の世界需要の急増にともない構成部品材料のマーケットは欧米市場や新興国市場に足場を移しだす。当然、資源ナショナリズムが各国で頭を持ち上げ、資源を持たない日本としては次世代自動車を継続生産できるのかどうか、気にかかるところだ。
必要となる磁石用のレアアース、電極用のレアメタルなどが不足すると思われるのだが、現在、現場のうわさは「銅が危ない」ということだ。モーターなどに必ず銅線が使われているためで、レアアースやレアメタルなどよりも手に入りやすいと見られる銅が、次世代自動車の世界普及にともない日本で不足する、と考えられだしている。
【DANN編集長】
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