一般記事
ガソリンスタンドが減り続けている。業界筋のまとめによると、今年3月末の全国のガソリンスタンド総数は、前年末より1492カ所減少して3万件割れ目前の3万0339カ所となった。
ガソリン需要減少と販売競争でスタンドの利益が減少、石油元売り主導の既存スタンドのスクラップ&ビルドによる大型化が進んだ結果といえる。スタンドの全体数が減少している一方、セルフスタンドは増加しており、前年より341カ所増の6906カ所となり、4件1件はセルフスタンドへと変わりつつある。
このガソリンスタンドの減少傾向は今後も続くことになりそうだ。販売競争に加えて消防法の改正に伴い老朽化したスタンドでは地下タンクを交換する必要が生じているためで、販売競争の中で利幅がとれず、設備更新の償却負担を検討した時、廃業を選択する業者も出てくるとみられる。米国では同様なケースでガソリンスタンドの淘汰が進んだことがあり、地場経営のスタンド業者は危機感を強めている。
ちなみに7月に新日本石油とジャパンエナジーが統合してJX日鋼日石エネルギーが発足するが、両社合わせた系列のスタンドは今年3月末で1万2667カ所あり、総数の41.8%を占めている。両社ともスタンド業者に対するコントロールは強く、ユーザーは安売りスタンドを探すのに苦労するようになるかもしれない。
【DANN編集長】
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若者の自動車離れを象徴するように機械工学系学生の自動車離れが進んでいる。東京大学の自動車工学系ゼミで、昨年度の冬学期に定員8人の講座を開設したところ、集まった学生は6人。学生から定員が少なすぎて教師と相対になるのが嫌だから、との意見が出されたため、今年の夏学期は15〜30人の定員で募集したところ集まった学生は11人だったという。
講座名は「自動車入門」。内容は、四輪免許取得前の学生もいることから教習所内で自動車を自由に乗り回してもらい、自動車とはどういうものかを知ってもらうというものだ。機械工学系のゼミでは、機械いじりに親しんでもらうほどの初歩の初歩的な内容だが、集まり方をみて担当教官は「基本的に自動車に興味がない学生が多い」と断定する。
東京大学でも、エンジニア教育で「学生フォーミュラ」のプログラムを取り入れており、昨年の大会では優勝した実績を持つ。新入生で常に10人以上の参加者があったが、今年はわずか3人だった。自動車に代わって人気を集めているのがロボットだそうで、こちらの説明会には50人近い新入生が集まったそうだ。
どうやら自動車は、若者に夢を与えられなくなったらしい。その背景には、日本車メーカーの努力で自動車が便利な道具になったものの、便利性との相関で「楽しさ」が失われていったと、同講座の教官は分析する。続けて、日本車の開発コンセプトが変わらないとさらに若者の自動車離れが進み、その結果、自動車関連エンジニアが枯渇することになると警鐘を鳴らした。
【DANN編集長】
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原油価格の上昇基調が続いている。4月5日にはWTI価格が87ドル/バレル前後になり、08年10月以来の高値水準をつけた。2010年の世界の石油需要は07年水準まで回復するとみられる。日本エネルギー経済研究所は「世界景気は回復基調で下がる要素はない」などとし、80ドルが基準価格で90ドル近くの高い水準での動きとなると分析する。
リーマンショック以前と同様、大量の投機資金が原油などの商品市場に流入していることも価格上昇の要因のひとつ。米国の投資銀行系アナリストは、米国経済回復の趨勢から今年末にかけて100ドルをうかがう基調になると予測する。
これに対して日本エネルギー経済研究所は、IEF(国際エネルギーフォーラム)での議論を紹介し、米国は市場重視の姿勢を堅持しているが、世界的には先もの市場でも投機的資金への規制が必要だとの意見が強まっているという。また、需給バランスからOPECは70〜80ドルの水準を望んでおり、100ドルをうかがう展開になると、サウジアラビアが安定化に向けたリーダーシップを発揮することも期待できると見る。
現実問題として国内ガソリン価格はジワジワと上昇を続けており、需要が見込めるGWにかけてさらに高値の展開になりそう。全国平均のレギュラーガソリン価格が160円を超えると、ガソリン税の暫定税率分を課税しないことを現政権は決めた。これによりガソリン価格が一気に25円ほど安くなる。この瞬間を見たいものだが、当面、それほどの価格上昇には至らないようだ。
【DANN編集長】
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自動車技術会は2011年の学生フォーミュラ大会から電気自動車(EV)による競技参加を正式に認める。EVフォーミュラは昨年の大会で3大学のチームが試走、今年9月7〜11日に静岡県の小笠山総合運動公園で開く第8回大会でも4台のEVフォーミュラが試走する予定で、これらの結果を踏まえて自技会は競技方法などの詳細を決める。
学生フォーミュラ大会は、大学生を対象にしたエンジニア教育プログラムで、小型のフォーミュラ・マシンを手作りしてデザイン、製造コスト、性能を競う。アメリカで始まり、欧州などでも盛んになった。各国でレギュレーションは多少異なり、すでに英国大会やドイツ大会などではEV、ハイブリッド自動車のフォーミュラが登場している。
日本の各大学でもEV政策は取り組まれているが、レースのような過酷な条件で制作したEVを走らせることはないため、フォーミュラ大会への正式エントリーを認めることで、制御技術をはじめとするEVの技術進歩が期待できるという。
一方で実践的なエンジニア教育として学生フォーミュラの人気は高く、今年の第8回大会でもエントリーは海外からの遠征チームを含めて過去最多となる85チームに達した。自動車技術会は、EVフォーミュラも一般フォーミュラと同一日程で競技を行いたいとしており、EV分が加わるとなるとさらにエントリー数は増加する見込みで、自技会もその対応に頭を痛めることになりそうだ。
【DANN編集長】
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規制緩和の見直し要望が強まる中で、ひと足早くハイ・タク業界が政労使一体で最規制に動き出した。民主党タクシー政策議員懇談会には、全自交労連など民主党を支持するハイ・タク労組の幹部だけでなく、ハイ・タク事業者の団体である全タク連の会長・副会長の幹部が出席、参加者全員で道路運送法を改正し、タクシーの事業規制を復活させる方針を確認した。
ハイ・タク業界は規制緩和の結果、事業参入規制や地区ごとに同一だった運賃規制が取り外されて、事業への参入車両数が増加、事業者間競争がし烈化した。この過剰な競争が過酷な労働を乗務員に強いて、危険な運転も目立ったことで、前政権時代から規制緩和の見直しが進んできた。
その結果、昨年12月に「タクシー活性化・適正化特別措置法」が成立、指定した地域で事業者が協調して減車する措置などがとられるようになった。ただ、地域限定の措置で、法律自体が3年間の時限立法であるため、法律期限が過ぎると再び過当競争になるということで、タクシー業界の労使は特別措置法の法律趣旨に沿って道路運送を改正して、再規制してほしいと要望していた。
政権奪取前の民主党はタクシー業界の労使に同調し、再規制を支持していた。しかし、特別措置法審議時は政権奪取直後だったため、180度政策転換することをためらったのかもしれない。それを労使でねじを巻いた格好になるのかどうか。来年の通常国会に道路運送法改正案を提出したいと民主党議員からの言質もとりつけていた。
【バス狂】
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全国のバス事業者で組織する日本バス協会が、国土交通省が示した上限制の新高速道路料金の影響評価に悩んでいる。土日に限り乗用車一律1000円としたいわゆる「1000円高速」には断固反対を表明した日本バス協会だが、新体系にはちょっと様子見の観がある。
バスが対象となる大型車の上限は5000円、大口需要家に適用されていた割引など、制度の詳細が決まっていないこともある。一般的には近距離利用にメリットはないが、長距離の高速バスは高速道路の利用料金が安くなる。そして長距離を利用する頻度は、トラックなどよりはるかにバスの方が高いことだけは確かなようなのだ。
一方で悩みが全くないわけではない。乗用車にも土日に限らず毎日の料金上限が2000円とされたことで、ウイークデーの長距離バスもマイカーとの競合関係にさらされるようになってしまった。
都市間の高速バスは日本のバス事業者にとってドル箱路線。1000円高速の影響は、土日に限定されたのだが、ウイークデーもマイカー利用に拍車がかかると深刻だ。エンドユーザーがどう動くのか。高速道路の新料金体系がバス事業者にとって、プラスとなるかマイナスになるかは、ふたを開けてみなければわからない、というのが本音だ。
【バス狂】
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経済産業省が打ち上げたスマートグリッド(次世代送電網)の実証実験に神奈川県横浜市、愛知県豊田市など3市1地域が選定された。横浜市には日産が、豊田市にはトヨタがあり、それぞれ実証実験に協力する。横浜市で約2000台、豊田市でも約3000台の電気自動車が実証実験向けに用意される予定で、いよいよ電気自動車が交通システムの主役になる時代が到来しそうだ。
しかし現実は、電気自動車が交通システムのなかに一定のポジションを占めることができるかどうかの正念場なのだ。現在、新型電気自動車の走行性能は1回の充電で実走行100〜120qほど。延伸するためにリチウムイオン電池の性能アップに向けた開発が進められているのだが、順調に進んでも2020年で現行能力の2倍、「これがリチウムイオン電池の限界」と指摘する専門家もいる。
仮に2倍になった時、能力すべてを走行性能に振り向けるのではなく、搭載電池量を減らすことで、車両価格を下げるとか、充電時間を短くするなどに振り向けたいという。結局、電池性能が2倍になったとしても、「走行性能面では現行と大差ない」というのだ。
どうにか走れて200q。こうした自動車を受け入れるのは現状同様、行政関係の連絡車両とか、銀行などの顧客回り用途などと限られ、ある試算では、国内需要は最大で10万台程度。普及のための補助金も財政負担を増すばかり、電気自動車を普及させリチウムイオン電池の価格を引き下げるのが、普及の早道といわれる。ようは卵と鶏、どちらが先かの堂々巡り。これを打ち破ることが電気自動車の普及に求められている。
【DANN編集長】
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ルノー・日産自動車とダイムラーとの資本・業務提携が実現する。小型車の共同開発や電気自動車をはじめとする環境技術強化を目的にしたもので、昨年末のフォルクスワーゲン・スズキの提携も狙いは同じ。21世紀の初頭の自動車産業の国際再編は、新興国市場向けローコストカーと先進国市場でのエコカー供給がキーワードだ。
高額な電気自動車用のリチウムイオン電池も、ローコストカー向けの主要部品も、量をまとめることでコストダウンができ、市場競争力を手に入れることができる。このため、電気自動車に社運をかける日産にとって、今回の提携でルノーだけでなくダイムラーにも電気自動車を提供できるようになることは魅力的だ。
問題は、2020年でもリチウムイオン電池の性能が飛躍的に伸びることは見込めず、電気自動車の生産ボリュームも自動車全体の数%程度と予測されることだ。
もっともハイブリッドカーを含めると、2020年に世界で販売される乗用車の半分はモーターと電池を積んでいるとの予測もある。それだけ電池は重要な要素技術のひとつで、発表されている計画では、日産は年間2万台弱のリチウムイオン電池の量産を行うことになっており、これができるかどうかが注目点。この課題を乗り越えて電気自動車で先行することが「技術の日産」復活の踏み台になる。
【DANN編集長】
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2010年3月の新車販売台数は67万4494台で、前年同月比では23.5%増の伸びとなった。この結果、09年度の販売台数は488万0265台となり、3.8%増と4年ぶりにプラスに転じた。各社の報道も、新車販売が増勢に転じたことを強調し、「需要は本格的に回復していない」との日本自動車販売協会(自販連)の悲鳴の扱いは軽い。
年明けからの月次の総販売台数を08年と比較すると、1月こそ前月比で2.9%減と、リーマンショック前に近づいたものの、2月8.8%減、3月7.7%減と2カ月連続してふた桁に近いマイナス状況となっている。
エコカー減税、エコカー購入補助により昨年後半から新車市場は回復してきたが、直近の販売動向をみると、カンフル剤を打っても市場は息切れ状態にある。需要を先食いすることで市場を支えているということだ。
これが積もり積もって、今年9月末のエコカー購入補助打ち切りを迎えるとどうなるか。8月、9月には駆け込み需要の発生が見込めるものの、その先は景気全体が上向かないと奈落の底となるかもしれない。新車販売の二番底がまっている。
【DANN編集長】
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