原油価格の高騰は、中国でも同じ。自動車燃料の価格上昇を抑えるために、アルコール系燃料を混合して使用する地域が出てきた。山西省では合法的に、メタノールを軽油、ガソリンに混入して、使用し始めているという。また、DME(ジメチルエーテル)を軽油に混合する実験的な試みも山東省の一部地域で始まろうとしている。
メタノール、DMEが中国内で代替燃料として浮上する要因は、中国内に大量に埋蔵する石炭資源をガス化し、そのガスをもとに合成してできる燃料だからだ。プロセスは、石炭をガス化しメタノールに転換、メタノールを原料にDMEを合成する。メタノールは化学製品の原材料として需要が高かったため、中国各地でメタノールプラントが作られた。この結果、従来1t当たり2500元だったメタノールの販売価格が、同1900〜2000元に急落。製造事業者は、民生用の燃料に転換することで、売り上げ減をカバーしようとの思惑がある。
代替燃料としてはLPG(液化石油ガス)があるが、石油精製基地が近くにある上海市などでこそ高質なLPGが供給され、タクシー車両や小型バイクの燃料に使われているものの、国産のLPGは組成が悪く、自動車の燃料には使えない。粗悪な国産LPGにDMEを混入すると、燃焼性がよくなるため、すでに民生用燃料ではLPG、DMEを7対3で混合したものが販売されだしている。
いずれにしても中国では、経済成長に伴いエネルギー消費量が高まっており、原油高騰の中で、様々な代替燃料を使う試みが始まろうとしている。
【DANN】
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