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貨物車の車両火災は、エンジン回りではスターターからの発生が高い割合を占め、ブレーキ関係では整備不良が主な原因となっている。使用の長期化にともない整備の手抜きは火災事故につながるようだ。交通安全環境研究所のリコール技術検証部が大型トラックなど貨物車の車両火災状況についてまとめ、29日に都内で開かれた交通安全環境研究所講演会で発表した。
分析の対象は2009年に自動車メーカーがリコール技術検証部に報告した1138件の自動車の事故・火災情報で、うち貨物車の事故・火災情報は355件で31.2%をしめた。乗用車のそれは401件で全体の35.2%に達しているが、乗用車6、貨物車1の国内保有比率と比較してみると、貨物車の車両火災事故の割合は大きい。
355件のうち火災事故は273件で、うち大型トラックは124件を占めており、火災事故のウエートが高い。要因別ではスターター含む原動機(エンジン)、電気装置(スイッチ、ヒューズなど)、制動装置(ブレーキ)、走行装置(車軸、車輪)の順となる。スターターが原因の火災事故は小型、中型を中心に27件で、原動機火災の37%に達しており、スターターリレーの故障などが主原因。大型トラックで長期間使用した車両ではスターターハーネスの劣化が原因で起きる火災が多発している。
また、制動装置火災を起こすのは大型トラックがほとんどで、ブレーキドラムからの発熱でタイヤ周辺が燃えだすこともある。制動装置火災の88%は整備不良が原因だとしており、とくに大型トラックは使用が長期化する分、しっかりした整備が必要になると警告している。
【DANN編集長】
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大型車を対象にしたエコカー購入補助金が、期限の9月末を待たずに打ち止めになる。27日までの段階でエコカー購入補助金の申請額は293億円で残額は11億円余り。乗用車などに対してはまだ枠が余っているものの、大型車分はほぼ使い切った状況だ。
2カ月も前に枠を使い切った背景には、車両価格が割高となるポスト新長期適合車の導入をユーザーである輸送業界が嫌ったことにあると見られる。
例えば大型・中型トラックの販売は4月53.9%増、5月108.5%増、6月86.5%増と大躍進している。大型メーカー各社はポスト新長期規制適合車をそろえているが、これだけ販売が伸びた中でポスト新長期適合車の販売は1%程度といわれる。
ポスト新長期適合車は厳しい排ガス規制をクリアするため、環境性能を強化したおり、その関連で車両価格は前モデルに比べて100万円前後割高になる。一方、エコカー購入補助金は登録13年超の大型車で180万円、差し引き計算すれば、まだ販売されているポスト新長期以前車両に買い得感があることは確か。輸送需要がシュリンクしているだけに輸送業者の目もシビアになる。
【DANN編集長】
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日本自動車輸入組合が2011年に開く第42回東京モーターショーを日本自動車工業会と共同で開催することになった。22日、ローランド・クルーガー理事長(ビー・エム・ダブリュー社長)が就任して初めてとなる記者会見で正式発表した。東京に舞い戻って開催することにした次回モーターショーは、どうにか格好がつきそうだ。
共同開催は自工会側から申し入れていた。輸入組合のクルーガー理事長が東京モーターショー副会長(会長は志賀自工会会長)に就いてショーに参加する。ただし、輸入組合の会員が参加するかしかないかは、それぞれが本社の意向に基づき、各社が判断することになる。欧米メーカーは中国市場を重視しており、国際自動車ショーとしてのにぎわいを取り戻すには、もうひと苦労ありそうだ。
第42回東京モーターショーの開催期間は2011年12月2日〜11日まで。会期は3日間縮まり、スペースも幕張メッセから東京ビッグサイトに移り、小さくなった。
最も地盤沈下はショースケールばかりではない。多くの日本人に日本車の評価を尋ねると、「魅力的な自動車がない」という答えが返ってくるのが圧倒的だ。日本メーカーも中国をはじめ海外市場に目を向けているのだが、日本人が魅力を感じない日本車が海外で存在感を示すことができるのか。これへの答えを探すこと、つまり日本車の魅力を取り戻すことの方が、東京モーターショーのにぎわいを取り戻す近道になる。
【DANN編集長】
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日産自動車の新型「マーチ」、タイ製のため、これまでのカウントでは「逆輸入車」として、輸入車の国内販売ナンバーワンの記録を樹立するはずだったが、夢ははかなく消えた。日本自動車販売協会連合会、日本自動車輸入組合が協議した結果、新型「マーチ」を逆輸入車としてカウントしないことを決めたからだ。販売ボリュームが多いために登録台数の推移に混乱を生じるという統計の継続性に対する配慮がその理由だ。
タイ製「マーチ」の販売目標は月6500台、このペースで今年いっぱいを売り切ると4万台弱の販売規模になる。
輸入車のモデル別販売台数トップはフォルクスワーゲンの「ゴルフ」で、輸入組合がモデル別販台数の公表を始めて以来、09年まで7年連続でトップの座を守り抜いてきた。今年上期の販売台数は1万5000台強。このペースを維持しても、年後半の販売だけの新型「マーチ」とは1万台ほどの差がついてしまう。もちろん輸入車販売の総ボリュームも拡大することになる。
統計の継続性というものの、自動車産業のグローバル化で状況は一変した。これまで逆輸入車が少数台数だったが、今回のマーチで、日本車メーカーが主力モデルを海外生産することが現実になった。やがては中国の現地工場も、日本の工場も中国資本に買収されるケースが出てくる可能性がある。統計も抜本的見直しが必要になる。
【DANN編集長】
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今年9月末で打ち切りとなるエコカー購入補助金の延長を求める声が経済界から強まっている。「打ち切りやむなし」としていた日本自動車工業会は、志賀会長が定例会見で「景気動向を注視し、必要な対策を打って頂きたい」と延長要望を表明。これに続いて、経団連の米倉会長も景気動向に対するエコカー補助金打ち切りの影響を懸念した発言を行った。
打ち切りによる需要の反動減は当然、見込まれるだけでなく、欧州の金融不安に端を発した景気の悪化が気がかりなのだ。すでに円高が進み、輸出にブレーキがかかりだしている。二番底の懸念が強まっているということだ。
例えば、経済産業省が発表する鉱工業生産動向は5月確報分まで13カ月連続で「持ち直しの動きで推移」という判断を下している。役所的表現だが、ようするにさまざまな対策を打っても、国内経済は回復の足取りが明確になっていないということなのだ。
参院選当選後の直嶋経済産業相は「経済動向を注視したい」と従来通りのスタンスを変えていないのだが、延長するもしないも国庫に金があれば、の話。一方で、国内市場は新車需要の先食いを1年以上続け、新車購入可能な層はほとんどが新車を購入してしまったとみられる。いずれにしても今年後半、厳しいことに変わりがない。
【DANN編集長】
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国際石油市場が安定化しはじめたようだ。日本エネルギー経済研究所によると、今年上半期のWTI原油先物価格は最高値86.8ドル、最安値68.0ドルで、乱高下した2008〜09年との比較で変動幅は相対的に小さくなったとし、一定のレンジに収まり変動する「ボックス圏相場」の様相を見せていると指摘する。
背景には、原油マーケットへの参加者が、過度の高価格も過度の低価格もリスクが高いということを共通の認識として持ち始めたことがあるらしいと、日本エネルギー経済研究所は分析する。そして相場が安定していることで、年後半は従来予測(75ドル±10ドル)の「やや高め」となる75ドル前後が原油先物価格の中心相場になるとみる。
また、原油価格は需給バランスよりも、経済状況などの将来見込みを織り込んで動くようになったそうだ。現時点ではメキシコ湾の原油流出事故が深海油田開発の規制強化につながり、供給が絞られるという予測にウエートがかかり、上昇基調になるという。一方、ヨーロッパの金融危機がさらに深刻になり、需要がしぼむとなれば60ドル前後まで原油価格は下落すると分析する。
乱高下は好まないという市場関係者の共通認識がいつまで保たれるのか。原油先物市場は、株や債券、為替などの伝統的な金融市場に比べて規模は小さく、ファンドの資金が流れ込めば一気に価格は乱高下する。そうしたリスクは、市場関係者の共通認識とは関係なく、金融資本主義の世界で常にどこかに潜んでいる可能性が高いようだ。
【DANN編集長】
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9月末で打ち切りとなるエコカー補助金を当て込んだ最後の商戦が熱を帯びてきた。現在では2〜3カ月と短期間化した「新車効果」を当て込んだ新車販売が相次いでいるほか、夏期休暇を返上して販売店をオープンするところまで出てきており、各社とも年度上期の国内販売積み上げに必死の様相だ。
新車で注目されるのは、13日に発表される日産「マーチ」。タイ工場に生産を移管し、格安価格で新車を投入、最後の補助金需要の確保を狙う。また1日発売のマツダのミニバン「プレマシー」も全車に独自のアイドリングストップ機構「アイ・ストップ」を採用し燃費を向上、補助・減税、さらに価格設定も含めてミニバンとしての買い得感を打ち出している。
この中でホンダは、7月から9月にかけて系列販売会社の稼働日を拡大、コカー補助金終了間際で発生する駆け込み需要の取り込みを図る。お盆休みは例年、通常の休業日に3日程度の休日を加え従業員に長期休暇を与えてきたが、出勤ローテーションをやりくりし、特例としてショールームを連日営業する方向で調整している。
国内景気は上向いているとの指標はあるが、新車販売はこの間の補助金を当て込んだ販売で需要の先取り感を強めている。結局のところ、山高ければ、谷深し。無理を重ねて、ここぞと新車販売を積み上げるのは良いのだが、景気が本格回復へと向かわなければ、その反動の落ち込みは相当きつい。
【DANN編集長】
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天然ガス自動車とともに来年度以降の車両購入補助打ち切りが決まったLPガス自動車。天然ガス自動車は国土交通省の営業車用補助などごくわずかな補助は残ったが、LPガス自動車は来年度以降一切が打ち切られてしまう。
経済産業省の行政事業レビューにより「自動車単体補助は意味がない」との理由で、購入補助打ち切りが決まったもので、実際、長年購入補助が実施されてはきたが、普及は進まず、改造費等の値段も下げられないでいる。その一方で、LPガス自動車に対する打ち切りの徹底ぶりに、LPガス自動車の改造事業者やオートガススタンドなどの関連業界は頭を抱える。
一部ではオートガス業界が自民党の大物政治家に肩入れしすぎたため、民主党の前幹事長が徹底的にたたきつぶした、とのうわさも出るほど。一方、最新のLPガス自動車は電子制御の燃料供給で低燃費、低公害を達成した車種があり、来年度はだめだが、翌々年度には何とか補助を復活させようと、関係者は密かに捲土重来を計画する。
そんな折の吉報が、トヨタ自動車の豊田章男社長が「トヨタアワード2009」で「クラウンコンフォート」を指定したことだ。同社は最新のLPガスエンジンを積んだ列記とした正真正銘のLPガス自動車。これまでLPガス自動車に冷たかったトヨタ内部の流れが、これで変わるのかどうか。トヨタは変われば行政の風向きも多少は変わるようになる。
【DANN編集長】
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厳しくなった排ガス規制をクリアするため、トラック・バス用の大型エンジンはターボチャージャーの装着が不可欠になった。そのターボが故障しやすいそうだ。
昨年相次いだドイツ・ネオプラン社製バスの火災事故もターボの故障が原因。出火原因を調査していた国土交通省は、ターボ軸受部の潤滑不良が原因でオイル漏れを起こして出火したと結論付けた。コンプレッサーやシャフトの破損で漏れだしたオイルが、高温となる排気系に流れ込み、燃焼しだすという構図だ。
外国製ターボの品質が悪いというわけではない。ターボの専門メーカーによると、大型ディーゼルエンジンのターボの故障は頻発しているとし、壊れる前に定期点検などのタイミングで交換することを勧める。目安は走行50万〜60万qごとだそうだ。大型車ディーラーなどもユーザーに早めの交換を進めるようになっている。
大型トラック・バスは排ガス規制の強化とともに、エンジン燃焼の精密制御に加えて、DPF(ディーゼル微粒子フィルター)などの後処理装置、さらには窒素酸化物(NOx)削減のための尿素添加装置などと装備が加わり、車両本体価格はコスト高。トラックやバス事業の経営環境は厳しいのだが、さらにターボも含めて定期交換が必要な部品が増加、メンテナンスの面でもコスト負担が増している。
【DANN編集長】
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