一般記事
経済産業省は、レアアースに対する中国の輸出規制に関する調査を実施する。対象はレアアースを輸入する商社や利用企業約30社。併せて中国税関当局が品目を問わず輸出入規制を行っているかどうかについて、商社や物流関係企業数百社を対象にアンケート調査する。28日に発送し、数日中に回収、とりまとめる。
レアアースは、尖閣諸島での中国漁船船長逮捕を巡る中国側の圧力で、中国からの日本向け輸出にストップがかかったと見られている。一方で、中国側は今年7月8日にレアアースの輸出枠を今年度下期に70%の大幅削減を実施すると発表しており、レアアース輸入が滞っているといわれる現状が、報復措置によるものか、輸出枠削減にともなう影響を見極める。
この間の経産省の問い合わせに対し、中国商務省は「日本だけを対象にしたレアアースの輸出規制は行っていない」と回答している。経産省は今回の調査結果を踏まえて、中国側に申し入れを行うとしているが、交わされる可能性も大きい。経産省によると、実際に影響が出ている企業とそうでない企業があり、通関手続きも地域ごとに差があるという。
電気自動車、ハイブリッド車用のモーターは、ネオジム(レアアースの一種)を使った永久磁石が必要不可欠。この特許は2014年に期限切れ。レアアース輸出規制をのらりくらりと中国側に交わされて、気がつけば中国製電気自動車の攻勢がはじまるということもありがちな話だ。
【DANN編集長】
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日本で固有の発展を遂げたカーナビゲーションシステム、ついに化石化が始まろうとしている。CD-ROMにはじまり、DVD-ROM、HDと本体メモリーを強化して高性能・高機能化し、発展した日本のカーナビゲーションシステムは、インターネット接続機能が弱いことが欠点。高機能携帯電話の出現でカーナビが過去の遺物になろうとしている。
多くの人が手にするようになった「iホーン」などの高機能携帯電話は、すでにカーナビの代用として使われはじめている。日本で独自の発展を遂げたカーナビは、ホンダのインターナビなどの一部を除いて外部との情報接続がなく、すぐに本体メモリーの情報が陳腐化してしまうことが欠点だ。
このため、電子デバイスメーカーのアルプス電気は、高機能携帯電話と車載端末の接続向上技術の提案を始めている。高機能携帯電話通じて車載端末に音楽などのソフトをダウンロードするといったイメージだ。携帯電話同様インターネット上のさまざまなアプリケーションをダウンロードすることができ、車載端末の陳腐化を手間をかけずに防げる。
一方、すでにグーグルは「グーグル・マップナビ」の提供を日本で開始した(9月16日)。携帯で高機能なナビゲーションサービスとストリートビューによる画像を見ることができる。通信料はかかるが、PND(小型携帯カーナビ)よりも高機能だ。DMカーナビの機能進化の前にカーナビそのものが駆逐される可能性もありそうだ。
【DANN編集長】
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総務省の「自動車関係税制に関する研究会」が提言した「環境自動車税」に対して、日本自動車工業会は「2011年度税制改正要望」で反対の立場を明確にした。暫定税率による割増分も含めて自動車関係諸税によるユーザー負担は大きいことから、税の簡素化を進めるのと同時に減税措置を取るよう要望する。
総務省の環境自動車税は、自動車保有していることでユーザーが支払っている自動車重量税と自動車税を一本化するのが基本案で、重量税は国庫、自動車税は都道府県と納める先が異なるが、一本化と同時に都道府県に収める「地方税」とする。さらに「環境損傷負担金」として二酸化炭素排出量を課税標準とするとの考えを示しており、税は簡素化されても自動車ユーザーとしての負担額は現状維持か、それ以上の金額になる。
これに対して自動車業界関係者の従来からの主張は、日本の自動車関係諸税は税体系が複雑で税額も高額であるとし、これを簡素化し「減税してほしい」というもので、その実現は悲願でもある。
ただ、環境は逆風下だ。地球温暖化防止のためにCO2の排出抑制が社会的に要望されており、化石燃料を消費する自動車の立場は悪い。しかし、国内新車市場は落ち込む一方で、少しでも負担を軽くして自動車の販売環境を良くしたいという業界の思いは強い。環境自動車税の創設は関係者の思いを無視し、確実に市場環境を悪化させる
【DANN編集長】
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日産自動車がタクシー用に供給してきた「セドリックセダン」をマイナーチェンジした。変更の一番の眼目は、搭載するLPガスエンジンを従来型のミキサー方式をやめて、電子制御LPガス液体噴射方式にした点だ。このシステムの燃料供給装置は愛三工業製、そして燃料タンクは中央精機から調達している。つまり基本部品は、「クラウンコンフォート」などトヨタのLPガス車と同じになった。
電子制御方式にしたことなどで、10・15モード燃費はリッター10qと従来比で約12%向上したのだが、それに対してあまり馬力アップなどは宣伝しない。本来なら直噴にすれば馬力も大幅にアップする。時節柄とも言えなくないが、「きちんとした液噴対応の開発をしてないからだ」と指摘するLGガス車の事情通もいる。
さらに基本部品は調達したが、トヨタ本体が内製するフュエルクーラーは供給されずにいる。最新のLPガスエンジンは、気化した余計な燃料を再び液化してタンクに戻す仕組みが備わっている。これをどうしているかは不明だが、クーラーがなければタンクは気化したLPガスで充満し、燃料を充てんしようにも入らない、との現象が起こる。
販売計画は月間150台。これがでは手抜き開発もやむなしかもしれないが、こうしたささいなことが、日本車の高品質は「今は昔」であることを感じさせる。
【DANN編集長】
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残額10億円を残して、エコカー補助金が打ち切りとなった。購入者の不平不満を和らげるため、自動車メーカー、ディーラー独自のキャッシュバックサービスを行う。
例えば日産自動車は販売店と折半で10万円をキャッシュバックする。しかし、対象車種は新型車「マーチ」「ジューク」「エルグランド」で、9月16日までに成約したユーザーを対象とする。日産の上期決算での重点車種に絞り込み、急激な落ち込みを避ける緊急措置。
一方、輸入車ではフォルクスワーゲングループジャパン(VGJ)が、独自の新車購入補助金施策「フォルクスワーゲンオリジナル購入補助金」を公表した。9月末までにフォルクスワーゲンのエコカー減税対象車を成約し、11月末までに新規登録した購入者に対して10万円を補助する。他社も同様な措置に踏み切ることになりそう。
経済産業省は「まだエコカー減税は継続しているし、民間独自の販売奨励策が出てくるはず」(自動車課)とエコカー購入補助金に代わる「民活」に期待していた。しかし、すでに内需は低迷しており、自動車メーカー・ディーラー施策がどの程度販売を下支えするかは未知数だ。しかも実施は短期間。とにかく景気が浮揚しないことには、国内新車販売の急落は間違いない。
【DANN編集長】
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エコカー補助金が今週中にも終了する。ディーラー各社が補助金終了後の反動減を見すえて、真夏の商戦に鞭を入れたことが災いし、あっけない幕切れになった。
次世代自動車振興センターは、8月末に補助金申請を受理したもののデータに反映できなかったとして9月3日時点の補助金残額を修正、約9万3000台の処理積み残し分、130億円分を差し引き、残額を218億円余りとした。このところ補助金の申請は、平均50億円近い金額で推移している。4、5日の週末販売にともなう補助金申請分などを残額から差し引くと、補助金は確実に今週中には底を突いてしまうと見られる。
輸入車ディーラーは、円高ユーロ安の為替が後押しし、補助金申請がアウトになっても、為替差益の還元でサービスすることができる。しかし、国内ディーラーはこうした切り札はなく、自腹を切って値引きサービスするしかない。
国内新車販売は息切れ状態で、補助金のカンフル剤で維持してきた。エコカー補助金の代表車種であり、車名別販売トップを続けるトヨタ「プリウス」でさえ、8月販売は前年比2.7%増の水準にとどまった。エコカー補助金打ち切りで9月後半の新車販売はさらに息切れ状態が深刻になるのか。結果でこの先が占えるようだ。
【DANN編集長】
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エコカー補助金の駆け込み需要で8月の新車販売は記録ずくめとなった。登録車は29万0789台で前年同月比46.7%増という過去最高の伸び、また軽自動車は8月単月で過去最高となる13万4197台を記録、前年同月比は21.7%増だった。
久々ににぎわった半面、ユーザーには不満が溜まる。人気車種ではすでに納車がエコカー補助金に間に合わないものもあるし、加えて8月後半からはエコカー補助金の予算枠が終了していつ切れるかわからないため、新車購入者に補助金が切れても文句は言わないとした念書にサインしてもらう「念書販売」が定着した。
補助金が出るうちに買いたいと思うユーザー心理は理解できるが、念書を買いてまでの購入は、満足のいく買い物なのかどうか。耐久消費財としてクルマにはそれなりの価格がついており、無理して買って長く乗り続けるものだろうか。それでも買い求めるユーザーがいるということは、それはそれでクルマの魅力が失せてないか、と気にかかる。
エコカー補助金終了後の反動減も気になるが、「エコカー補助金はなくなってもエコカー減税は継続する。思ったよりも大きな反動減はないのでは…」(経済産業省)との見方もあるようだ。新車需要は軟着陸できるのかどうか。念書を書かいてもユーザーの不満は不満、現場の混乱は避けられそうない。
【DANN編集長】
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