05年の普通トラック販売は前年比2.0%増の10万6014台となり、3年連続で10万台を突破した。大型4社の販売シェアは、日野32.1%(前年同期比0.6ポイント増)、いすゞ28.3%(1.9ポイント増)、三菱ふそう20.7%(3.8ポイント減)、日産ディーゼル18.8%(1.2ポイント増)と、三菱ふそうの落ち込み分を3社が奪いあった格好だ。
異変は日産ディーゼルの躍進だ。積載10t以上の市場における12月単月販売で、1091台を販売し、983台にとどまったいすゞを抜き、第2位に浮上。年間でもこの市場では1万2652台を販売し、堂々の第3位。第2位のいすゞとの差もの1100台あまりに詰めているのだ。
躍進の秘密は、ディーゼル排出ガスに関わる新長期規制をクリアした新技術「FLENDS」にある。燃料の高圧噴射でPM(粒子状物質)を規制値に以下に減らし、尿素還元触媒でNOI(窒素酸化物)も減らすというシステムだ。燃料のほかに尿素水を補給する必要があり、どれだけ利用者が増えるか疑問視されていた。しかし、実績はこのとおり。燃焼コントロールとDPF(ディーゼル粒子フィルター)による排出ガス対策よりも燃費は良いのだ。これが、原油高騰による軽油価格の値上がりの中で受けている。
この躍進をやっかむ声もある。尿素を補給し続けるかはドライバー次第。代表的なやっかみは、「尿素も入れずにそのまま走れば、燃費向上分がプラスになる」と勘ぐるもので、FLENDSによる排出ガス対策のコンプライアンスに疑問を投げかけるものだ。さらにPMの排出総重量は減っても、人体へ深刻な影響を与える超微粒子(ナノ粒子)はそのまま大気中に排出されていると言った声もある。それでもトラック輸送事業者の経営環境は厳しく、市場の評価は燃費優先にある。
【DANN編集長】
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