一般記事
韓国・現代自動車の大型バス「ユニバース」のポスト新長期規制対応車が、11月下旬から日本で発売される。「ユニバース」は09年2月から日本で販売が始まっており、その後に実施された強化排ガス規制の「ポスト新長期」をクリアしたモデルが登場する。
バス会社にとって、4000万円程度の大型バスが3分の2以下の価格で購入できることが魅力で、すでに数社がバス会社のドル箱である都市間高速バスに導入している。エンジンなど現代自のオリジナル開発で、発売前に行われた日本のバス乗務員を対象にした試乗会での評判は上々、ポスト新長期対応モデルもと期待がかる。
日本のバスの市場は、かつては大型4社が独占していた世界でも珍しい閉鎖的な市場だった。しかし需要は減少を続け、日本の大型バスの市場は年間6000台あまり。縮小した市場に旧・日産ディーゼルが見切りをつけ、現在は日野―いすゞのJバス系と三菱ふそうトラック・バスによる市場の争奪戦となっている。そうした市場に現代自が割ってはいる。
価格競争で負ける国内勢は、バス会社の車両購入担当者との過去からの結びつきを頼りに必死に防衛する。現代自がバス会社社長に食い込み、試験的に2台の導入が決まったものが、社長指示を無視して1台だけで終わったケースもあるというのだが…。こうした局面でも、過去の日本的なものが崩れていこうとしているようだ。
【DANN編集長】
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日産自動車の「フーガハイブリッド」が11月2日に発売となる。「フーガハイブリッド」は日産ブランドのフラッグシップセダンだ。V型6気筒3.5リットルの「VQ35HR」エンジンと7速ATの「マニュアルモード付電子制御7速ハイブリッドトランスミッション」を組み合わせ、独自のハイブリッドシステム「インテリジェントデュアルクラッチコントロール」を搭載した。モーター駆動の加速は快く、同時に1リットル当たり19q(10・15モード)の燃費性能を実現している。
日産自動車の志賀COOは発表会で、「日産がこれまで培ってきた高速のモーター制御、リチウムイオン電池の技術を応用してハイブリッドを開発した。今後、自動車メーカーとして環境性能を高め続ける責務があり、電気自動車同様、ハイブリッド車も広げていく」と、ハイブリッド車市場への参入を宣言した。技術担当役員も「1モーター2クラッチの方式はFFの4気筒車やCVTと組み合わせることは技術的に可能だ。他車への展開も短期間で開発できる」とフォローする。
日産ファン待望のハイブリッドの発売で、今後の車種展開に期待はかかるが、エコカー購入補助金終了直後の冷え込んだ市場がどのように反応するか。ハイブリッド人気の行方を占う1台と言えそうだ。もっとも、「もう少し早く、出していてくれたなら」とぼやく声もないわけではない。
【DANN編集長】
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産業構造審議会、中央環境審議会の両ワーキンググループによる「使用済自動車判別ガイドライン」の審議が佳境に入っている。10月21日に都内のホテルで開かれた第3回合同会議は、最後となった地方自治体関係者に対する意見ヒヤリングを行い、これまで関係者が提出した意見、問題点を整理してガイドラインを取りまとめるたたき台が示された。
一方で、12月に予定する第4回合同会でガイドラインの骨子案が示される予定だが、その前に意見を広く集めるためのパブリックコメント、いわゆるパブコメを実施することを決めた。
通常、政府系の委員会では、法案基本骨子やガイドラインなどに関してほぼできあがった瞬間にパブリックコメント求めて一般からの評価を聞くのだが、今回はそのまったくその逆を行く。広く意見を集めてからガイドライン骨子案をまとめるというのだ。当然、「ワーキンググループがまったく仕事をしていないような印象になる」と反発するワーキンググループ委員もいた。
一口に中古車と使用済自動車を区別するというが、業者間の利害関係は複雑にからむし、古くても価値がある自動車の世界で使用期間が長いから「これは廃車」と一律基準で決められない。これに取り締まりの白黒をはっきりしたい地方自治体関係者、複雑すぎる手続きに翻弄される消費者の代表が、ガイドライン作成議論に入ってくる。まとめるのが難しい議論のようなのだ。
【DANN編集長】
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政府は10月の月例経済報告で、国内景気の基調判断を前月までの「持ち直し」から「足踏み状態にある」と下方修正した。基調判断の引き下げは09年2月以来1年8カ月ぶり。
自動車産業など、景気立て直しの原動力となってきた輸出主体の工業生産が弱含みに転じた影響が大きい。
前日の19日、トヨタ自動車の豊田章男社長は名古屋で記者と懇談し、急速な円高による経営環境の厳しさを訴え、政府施策に対する期待を表明。裾野が広い自動車産業を「国の政策のど真ん中におき、付随するものを新成長戦略として描いて欲しい」と注文した。
エコカー補助金打ち切り後の市場の急落に円高による輸出採算の悪化が加わった。景気悪化の原因とされても、当面、自動車産業は政府の支援策にすがるしかない。その見返りに「よほどのことがない限り、海外に簡単に生産を移すことはない」「雇用は完全に守っていきたい」などと述べ、雇用を切捨てないことをコミットメントしている。
これで経済産業省は動きやすくなるのかどうか。新たな政策を求めると同時にその見返りを企業経営者がコミットメントする。自民党政権時代は裏側に隠れていた政治と企業のつながりが、民主党政権下で日の当たる場所に出てきた。
【DANN編集長】
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10年間実施されていなかった「タイヤ整備士」試験が、早ければ2012年にも復活する。タイヤ整備士は、国(国土交通省)が付与する自動車整備士資格のひとつ。現在約7000人の資格取得がいるといわれるが、タイヤメーカーの認定資格などにとって代わられ、受講希望者が大きく減少したことなどを理由に2000年度の試験を最後に実施されていなかった。
タイヤ販売関連の全国タイヤ商工協同組合連合会が同試験の再建に熱心で、来年5月までにタイヤ整備士試験を受講するために必要となる専門講習(二種養成施設講習)のテキストを作り直すとともに、同講習の講師養成などの準備を進める。実際の講習は2012年5月から9月の期間に実施、10月に日本自動車整備振興会連合会による試験を実施、11月に合格発表を行う、との再開スケジュールを計画している。
全国タイヤ商協連の調査では、300〜400人程度の受講希望者がいるといわれるが、実務経験2年、さらに専門講習を受けてようやく受験資格ができるタイヤ専門の国家資格に継続的な受講希望者がいるのかどうか。同試験を再開した場合、継続的に受講者を確保できるかどうかが課題だと、再開の動きを冷やか見る業界関係者も多い。
【DANN編集長】
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トヨタ自動車の「プリウス」が、エコカー補助金の大波に乗り、今年度上期の車種別販売でトップに立った。今年1〜9月の販売台数は16万9千台を超え、軽自動車トップのダイハツ「タント」との差は約7万台、登録車第2位となったホンダ「フィット」とは約8万台という大差だ。
この数字をみると、トヨタのハイブリッド戦略は大成功のように見える。しかし、このトヨタのハイブリッド戦略に警鐘を鳴らすマーケティングの専門家がいる。ハイブリッド車は米国市場ではセカンドカー以上ではなく、欧州では不人気、さらに世界の自動車メーカーが競い合う東欧、南米のなどの新興市場でもハイブリッド車が受け入れられそうにもないからだ。
この専門家は、トヨタ自動車や現代自動車でマーケティングアドバイザーを務めたことがある。その時の体験から「トヨタ内部ではハイブリッド戦略を見直しすることはタブーになっている」と話す。同時に「変化が速い社会で、技術も開放しないとディファクトスタンダード(業界標準)になりえない」と指摘する。
トヨタは、ハイブリッド技術をダイムラーベンツに技術供与するようにしたが、その結果がどうなるか。トヨタハイブリッド戦略に固執しすぎると、自動車の分野でも日本の「ガラパゴス化」が進む可能性もあるようだ。
【DANN編集長】
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軽自動車販売が高い伸びを見せている。9月販売は16万3291台で前年同月比4.1%増と今年1月以降9カ月連続で対前年を上回った。エコカー補助金の打ち切りで需要が急落した登録車とは好対照だ。9月の登録車販売は30万8663台で同4.1%減、14カ月ぶりのマイナスとなっている。
全国軽自動車協会連合会は「エコカー補助金の補助金額が少なく、効果が限定的だった分、補助金打ち切りの影響は少なかった」と分析するが、理由はそれだけではなそうだ。
年初から6月ぐらいまでの軽販売の動きは、どうにか景気急落前の水準に戻ったといえるものだったが、エコカー補助金の9月末打ち切りがはっきりした今年8月の販売は13万台オーバー、8月販売として過去最高の記録を達成した。期末のメーカー押しこみで例年高い水準になる9月もそれなりのボリュームといえる。
押し込まれた軽自動車は、当然のごとく新古車として大手整備事業者や中古車販売店の店頭に並ぶ。エコカー補助金終了後は、補助金実施期間中薄れていた新古車の魅力が戻ってくる。「補助金がなくなれば、買い得感ある中古車を探す」というユーザーも多い。それを見込んだ大手事業者の軽自動車品ぞろえ強化が、軽自動車販売を押し上げているようだ。
【DANN編集長】
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大手から中小企業まで法人各社が保有する自動車から排出されるCO2削減策を進めることが、今後の地球温暖化防止対策のカギになる。
日本の保有車両は約7600万台、このうちマイカーとして個人が保有する車両は5100万台、法人所有は大手企業400万台、中小企業2100万台の計2500万台で、保有の比率は個人67%に対して法人32%となる。
一方、月間平均走行距離をみると、個人は500q、これに対して法人は約2000q。走行距離をもとにしたCO2排出では、個人、法人の割合は逆転し、個人34%、法人66%となり、排出量でウエートの高い法人車両の対策を進めることが効果的だとわかる。
このため、大手リース会社のオリックスでは、主に法人を対象に「テレマティックサービス」等を提供して車両の効率管理を進めている。省エネ運転にはじまる車両管理は保有台数の削減へと結び付くそうで、ある中小企業では721台あった保有車両を2年間で601台に減らすことに成功したそうだ。
保有車両の削減で1台当たりの走行距離が増すことになるため、直接CO2の排出削減につながらないが、企業にとって車両管理の軽減は大きなメリット。このためCO2排出削減の取り組みと同時に車両管理に関心を持つ企業は年々増加しているという。先の企業の例でいえば保有車両は16.6%減、この風潮がさらに進めば、日本の自動車市場はまた縮小することになりそうだ。
【DANN編集長】
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