1月の国内車名別新車販売で、3カ月ぶりにトップに返り咲いた「カローラ」を筆頭に「ヴィッツ」「ラクティス」「bB」と上位4位までをトヨタブランド車が独占、強さを見せつけるトヨタ自動車。すべて順風満帆で日本のトップ企業として王道を行くトヨタの最大の悩みは、すべての面で「一人勝ち」になることだ。
現在、「2010年グローバルビジョン」を掲げ、世界シェア15%、年間販売900万台を目指している。226万台あまりを販売した米国市場も好調なら、中国市場でも「クラウン」が人気で、高級車セグメントでアウディを追い上げている。今年中に2010年グローバルビジョンの目標は達成することは確実で、年間の生産台数でもGMをキャッチアップできる可能性が高い。
トップ企業である証の財界活動では、今期限りで奥田碩会長は日本経団連会長から降りると見られるが、日本自動車工業会の会長には張富士夫副会長が就任することが確実だ。
企業としての業績、財界活動ばかりではない。モータースポーツの世界でも、トヨタの名が台頭している。日本でF1と言えば「ホンダ」だったが、05年の成績は不振のホンダを尻目に、トヨタチームがコンストラクターランキングで4位を獲得した。今年もランキング1位になることを目指し、力を入れている。さらに06年のシーズン終了後には日本でのF1開催地が、鈴鹿サーキットから富士スピードウエイに移ることも確実と言われる。この分野でもトヨタのネームバリューが高まる。
これで悩むのが「三河的」というかトヨタ的。「名が高まればそれだけ風当たりが強くなる」(同社経営幹部)と不安がる。だからでもあるまいが、今年1月の組織改正で「社会貢献推進部」を設置、「人材育成」「環境」「交通安全」の3分野を中心に「社会貢献活動」を積極的に展開するのだという姿勢を示した。トヨタは、世間がどう見ているかを今まで以上に気にかけだしている。
【DANN編集長】
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