政府によるクリーンディーゼル普及推進戦略がまとまった。17日夕に開かれた「クリーンディーゼル普及推進会議」で打ち出した。@多角的プロモーションによるイメージの改善戦略A北海道を舞台に地域と連携した普及促進を図る―などが骨子。また、初期需要創出策としてクリーンディーゼル乗用車に対する自動車取得税の軽減措置が盛り込まれた。
トラックなどはともかくとして、乗用車普及にはディール車に否定的な消費者のイメージ改善が需要になるとし、日産自動車が名乗り出たクリーンディーゼル乗用車の発売開始に合わせ、ディーゼル車のイメージ改善イベントを開催することも計画する。
ただ、イメージ改善だけで普及が進むのかどうか。ディーゼル燃料の軽油はガソリンに比べ単価が低いと思われているが、実勢の1リットル当り価格差は20円ほどで、ガソリン税と軽油引取税の差に過ぎない。車両価格はディーゼル車が割高になる。懇談会資料によると、02年10月時点でガソリン乗用車(300万円)と同じタイプのディーゼル乗用車(340万円)の価格差は40万円で、燃費は3割弱上回っていた。
09年に実施予定の排ガス規制「ポスト新長期」をクリアするために装備が増え、クリーンディーゼル車も価格はアップする。価格差がどれほどかは未定だが、仮に50万円あまりとして、燃料代で差を埋めるにはどれだけ走れば良いかを試算した。
ガソリン車の燃費が10q/リットル、クリーンディーゼル車が13q/リットルとすると、5年間で購入費の価格差を取り戻すには毎月1526q走る必要がある。ちなみ燃料価格はガソリン170円、軽油150円とした。
乗用車ユーザーの月間平均走行距離は430〜450qにすぎない。イメージの問題だけでなく、ディーゼル車を選ぶことで得するユーザーも少ないという試算結果となった。
乗用車の月間平均走行距離の短さは日本の特殊事情、CO2削減につながるからとディーゼル車普及を進めるのはいいのだが、採算に合わせるためには平均走行距離を3倍以上に拡大しなくてはいけない。無理に走れば家庭部門のCO2排出総量が増えるのではないかと気にかかる。
【DANN編集長】
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