自動車業界が、ユーザーの声を代弁し、自動車関係諸税の引き下げを求めている。ガソリンにかかる揮発油税、自動車重量税などは、これまで「道路特定財源」として道路整備のためだけに徴税され使われてきたが、国の財政難であることや、道路整備費用が余ってしまうことなどを理由に、政府が目的を限定せずに自由に使える税金に切り替える準備を進めているからだ。
この「道路特定財源の一般財源化」について、政府・与党は昨年12月9日、一般財源化することを前提に基本方針を決定し、今年中に具体案をまとめることにした。これも小泉構造改革の一連の流れで、トップダウンで進めてきた小泉首相が6月まとめる「骨太の方針」に一般財源化が盛り込まれれば、道路財源の一般財源化は政策決定となる。
しかし、揮発油税、重量税は物価上昇に合わせて繰り返し、引き上げられてきた。これが「暫定税率」と言われるもので、現在、揮発油税の場合、本来ガソリン1g当たり24.3円のものが2倍の48.6円に、また重量税は乗用車の場合、車両重量0.5tにつき2500円と定められたものが、6300円になっている。道路特定財源のために作られた税金だから、余っているのなら暫定税率を戻して、税額を引き下げるのが筋の通った正当な政策ではないかというのが、業界の主張である。
自動車業界はJAF(日本自動車連盟)を中心に全国で418万人、またガソリンスタンドの事業者団体である全国石油商業組合連合会(全石連)が409万人の一般ユーザーから一般財源化反対の署名を集めた。5月11日には自動車業界、石油業界が共同で記者会見し、集まった署名を持って自民党に要望活動するというパフォーマンスを行ったが、一般マスコミはニュースとしてほとんど取り上げていない。借金だらけの国家財政を考えたら「たかが道路財源の使途転用ぐらいでとやかく言ってもしょうがない」「販売促進のための業界エゴだ」ということなのだろうが、何かおかしくはないか。
ちなみに高騰しているガソリン価格、仮に135円としてその中に揮発油税48.6円、地方道路税5.2円、計53.8円の税金が含まれている。そしてその税金分に対しても、ガソリンを購入するときに消費税を払っているのだ。
【DANN編集長】
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