米ゼネラル・モーターズ(GM)とルノー・日産との提携は、14日にデトロイトで行われるGMのリチャード・ワゴナー会長とルノー・日産のカルロス・ゴーン社長との会談後、両社間の交渉が本格化する。ワゴナー会長が自立再生に強い意欲を持っているため、両社の提携が実現するかどうかの可能性は5分5分。提携が実現するにしろ、しないしろ、日産の日本における存在感が薄れていくことは確実のようだ。
ゴーン改革で注目される日産だが、その実態はマラソンで例えるなら、トップから大きく引き離された2位集団で、かろうじて先頭を走るランナーに近い。
国内生産を見ると、バブル崩壊直後の93年度は174万9千台を生産し、国内総生産の16.1%を占めていたが、ルノーとの提携が始まった98年度は152万8千台でシェア15.3%、05年度は136万4千台で12.5%まで落ちている。
国内販売も同様で、93年度は106万2千台を販売し16.6%のシェアを占めたが、98年度は86万台あまりで同14.7%、05年度は84万2千台で同14.4%と低下する。直近の数字はシェアダウンに歯止めをかけたように見えるが、スズキ、三菱から提供を受けている12万3千台の軽自動車販売が貢献しているためで、軽自動車販売がなければ、05年度国内販売は71万8千台、シェアも12.3%で、国内の生産・販売両面で1割強を占める平凡な自動車メーカーに過ぎないのだ。
ゴーン改革による再建の評価は高いが、それも北米市場や中国という自動車マーケットが好調に推移した市場での生産・販売が引っ張ってきたからこその話だ。改革の真価が問われるのは誰からも「これから」と言われる。とりわけ日本国内と欧州では苦戦が続いており、ゴーン改革という手品のタネもつきかけていた、と見る向きもある。
その意味で、GMの大株主カーク・カーコリアン氏の提案は、ゴーン社長にとっては渡りに船。GMとの提携が実現できれば、日産改革の最終評価を先送りできるし、ゴーン氏自身の経営手腕についての評価もさらに高めることができる。
【DANN編集長】
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