一般記事
ガソリン小売価格が10月も続落する見通しだ。昭和シェル石油が10月の仕切り価格を6円、ジャパンエナジーは5円引き下げる。原油の国際市況が続落しているだけでなく、新日本石油、出光興産が10月から卸売価格を製品ごとの市場連動型の新体系に切り替える影響も大きいようだ。
新日石の場合、旧来の原油コスト連動方式で算定した9月卸価格は当初、前月比5.1円減だったが、全体が値下がり基調で動いた卸価格の実勢は8.1円減となっている。それに続き、新方式で計算した10月卸価格は前月比12.5円減となる見込みだ。原油輸入価格の値下がり分が11円あまり、円高による値下がり影響が1.5円程度という。
石油情報センター調査(9月22日現在)では、全国平均で171.5円までレギュラーガソリン価格が下がってきており、首都圏近辺のガソリン安売り店では150円台半ばの値付けも出ている。一時、「200円を超えるのでは…」とみられていたガソリン小売価格の動向に安堵感が出てきている。
こうしたガソリン小売価格の動向が、新車販売にどう影響を与えるかは気になるところ。スズキは主力の「ワゴンR」をモデルチェンジしたばかり。軽追撃のトヨタ自動車はスモールカー「@Q」販売を開始する。低燃費を売りにする車にガソリン価格の反落は、どのくらいマイナスに作用するのか、どうか。ただでさえ、新車市場が低迷するなかで、「新車の売り筋」がますます難しくなってくる。
【DANN編集長】
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発足した麻生内閣で経済産業大臣に再任された二階俊博大臣は、産業技術の移転先として、「中国の次はインド」と狙いを定める。二階大臣は、政界屈指の中国通であるだけでなく、通商外交にも熱心で、成田、羽田両空港にアフリカ諸国の物産を紹介するコーナーを設け、アフリカ諸国との交易促進にひと役買ってもいる。
就任会見で、「中国の次は」との質問にインドと即答。インドの産業大臣との会談時の話を引き合いに出し、「インドにはトヨタも来ているし、スズキもある。しかし、それほど高い技術を必要とする製品が作れる現状にない。日本の中小企業に来てもらい、生産基盤を広げて産業を振興したい」との強い要望があったそうだ。
ただ、中小企業は資金力がない。「政府が資金的に支援して、現地に中小企業団地を作るなどの方策で、産業技術の移転を促進したい」などとした私案を披露。政府が中小企業の海外進出を手助けすることで、中小企業のグローバル化も促進できると話す。
自動車産業はインドでの生産体制の構築に続き、開発拠点をインドに作り出す動きが活発化している。ホンダが二輪の開発拠点に続き、四輪の開発拠点を設けるほか、スズキや日産も開発拠点としてインドを活用する計画を持っている。自動車産業が拡大するには、開発の現地化同時に多様な分野の産業技術集積もカギを握る。その意味で、中小企業の進出を促進する二階私案、実現すれば基盤に構築につながりそうだ。
【行政ウォッチャー】
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輸入車を中心とした高級ブランド車も、勝ち組み、負け組みの差が出始めている。国内の景気低迷の影響で市場は落ち込んでいるものの、「超高級車」に限れば、まだ堅調な推移を見せる。
「マセラティ」「フェラーリ」「ベントレー」「ロールス・ロイス」の高級車4ブランドを扱う「コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド」は、08年度上期(4〜9月)販売台数で目標とした600台超を達成できる見通しだ。今後、景気低迷はさらに深刻な影響を及ぼすと見られているが、とくに「マセラティ」の販売が好調で「年度目標の1200台は達成可能」と強気な見通しを示している。
他の高級車ブランドとの比較で見ると、例えばメルセデス・ベンツの1〜8月の販売実績は2万8600台あまりで前年同期比11.9%減、またBMWは同2万8850台あまりで同17.7%減となっている。ドイツの高級車ブランドは、ブランドがやや大衆化した分、景気低迷を受けている。さらに深刻なのは、国産高級車ブランドの「レクサス」で、1〜8月の販売実績は1万7860台あまりで、同25.1%落ち込んだ。最高級ハイブリッドモデル「LS600h」「LS600hL」の発売を始めた今年4月こそ前年同月比2.6%減の落ち込みにとどめたが、7月は31.8%減、8月は44.4%減と大きく後退している。
一方で、コーンズが扱う高級車ブランドは、モデル末期にある「ベントレー」が目標を下回っているが、「マセラッティ」は1〜8月で30%増の355台、また「フェラーリ」も290台あまりで、前年並みになっている。販売台数は1桁以上違っているが、「景気が悪い、悪い」と言われても希少価値の超高級車の需要は底堅い。
【DANN編集長】
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新車が売れない日本市場、元気があるのは中古車輸出関連ビジネスだけだ。
名古屋に拠点を設ける中古車輸出会社「トラスト」は、今年3月に海外向けウェブサイトをリニューアルし、海外個人向けネット販売を強化した。これに続いて同サイトに事業者向けコーナーを設置、販売拡大を進める。事業者向け販売は1台当たりの利益が落ちるが、台数に応じて値引きが行われる輸送船代金などのメリットを引き出し、バランスをとる方針だ。また、年内に東京に拠点を設け、新規顧客の掘り起こしを進める。
一方、全国6カ所に会場を設け、リースアップ車両専用に入札会を行っている「システム・ロケーション」(本社・東京)は名古屋会場を移転、独自のヤードにすることで、事業拡大を目指す。同社の入札会のメーン顧客は輸出業者。新ヤードは敷地面積約1万u、収容台数300台、充実した設備で運営効率やセキュリティーの向上を図る。新入札会場はこの10月から稼働する。
両社はいずれも新興市場に上場を果たしている企業、日本の中古車の高品質に支えられ業績を伸ばしている。最大手オートオークション会場を運営するUSSを支えているのも中古車の海外輸出業者だ。国内以上に海外で日本車の流通が高まっている。トヨタ自動車も、タイでオートオークション事業に乗り出すことを検討中。グローバル化で中古車流通も海外マーケットが中心になってきた。
【DANN編集長】
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日産サティオ石川、日産プリンス石川、富山日産モーターの松村グループ日産ディーラー3法人が9月12日、石川、富山の地方裁判所に民事再生手続きを申請し、事実上倒産した。市場規模が小さい市場で日産系販売チャネルの一本化で区別が無くなり、そこにこの間の新車販売不振が追い討ちをかけた。店舗統合などの合理化策が後手に回ったようだが、日産本体の販売政策変転の結果、行き詰るべくして行き詰った、と言えなくもない。
地元業界によると、ここ1年、同社による異常な新車登録が目立ち、ひどいときは前年比70%増もの登録をしていたという。自社登録した車両をオークションで多量に転売し、資金をつないでいたようだ。
松村グループ以外に富山県には富山日産、日産サティオ富山が、また石川県には石川日産の日産系主力ディーラーが存在する。日産の販売政策の変更でディーラー間の取扱車種の差別がなくなったのに合わせ、店舗集約などを進めて収益改善をすべきだったが、「そうした経営努力はみられなかった」と経営陣の対応のまずさを指摘する同業者もいる。その一方で、日産が国内販売建て直しのために軽自動車販売に着手、現在の売れ筋もコンパクトカーばかりであることで「ディーラー収益は悪化した」などと、日産本体の販売政策を批判する声もある。
それぞれの債権者説明会は18日〜20日に開かれる。ディーラー経営者の運営に問題があったのか、それとも日産の販売政策が無理だったのか。それとも両社に問題があったのか。扱い車種が同じになれば、系列ディーラーの複数チャネル展開は困難になることだけは確かなようだ。
【DANN編集長】
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ブリヂストンが本格的に取り組み始めた「リトレッドタイヤ」。リトレッドの「リ」はリサイクル、リユースの「リ」と同じ。横文字にすると目新しく聞こえるが、年配の方々は「再生タイヤ」といえばピンとくる。磨り減ったトレッドを張り替えて、タイヤの表面を新品の状態に戻す技術のことで、同社が昨年買収した米国バンダク社の技術を元に日本市場で本格展開することにした。
当面のターゲットはトラック・バスの商用車用タイヤで、リトレッドタイヤを専用に売るのではなく、新品タイヤとリトレッドをパッケージ化して販売する。「エコバリューパック」と名づけたサービスは2種類。新品タイヤを購入後タイヤ空気圧の管理までトータル管理を行いながら新品タイヤの消耗後にリトレッドし管理も続ける「トータルパッケージプラン」、リトレッドを前提に新品タイヤを購入、メンテナンスを行う簡易な「タイヤアンドメンテナンス」。当面、市場性を見極めるために取引のある大手輸送業者に提案している。
日本における再生タイヤは、ラジアルタイヤの登場とともに下火になり、ラジアルタイヤへのリトレッド技術も開発されたが、バブル経済と格安輸入タイヤの登場でほとんど姿を消した。その一方で、程度の良い中古タイヤが、海外のリトレッド用再生コアとして輸出される時期もあった。
環境問題の視点では注目されるリトレッド。一方のトラック・バス事業者は、燃料の高騰も手伝って少しでも経費を節減しようと血眼になっている。環境よりも経費節減、輸送業者の間から「まだ新品タイヤが安く手に入る」との声も聞かれる。
【バス狂】
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整備事業者の景況感の悪化が著しい。日整連(日本自動車整備振興会連合会)がまとめた「第25回整備需要動向調査」によると、整備業界全体の景況感DIはマイナス84.9で、前回調査時(08年1月)に比べ9.7ポイント低下した。DIは「良い」という回答から「悪い」という回答を差し引いた指数で、ほとんどの整備事業者が不景気な状態だと回答していることになる。
今回の調査期間は08年1月〜6月まで、整備専業者だけでなくディーラーサービス工場も調査対象にしている。総整備売上高DIは前期比1.3ポイント減のマイナス6.5、また総入庫台数DIは前期比6.3ポイント減の9.8、ともに前期に比べマイナスとなり、整備事業者の経営は深刻だ。次期(08年7月〜8月)の予想でも、総整備売上高DIマイナス22.2、総入庫台数DIマイナス15.1となり、とさらに悪化すると予測する事業者が多い。
さらに整備業界の景気回復時期についても、「わからない」との回答が49.4%、また「回復しない」が43.9%。業況見通しの先行きも悲観的だ。
新車販売の低迷の影響は、すでにアフターマーケットにも及んでいる。頼りの外需も、米国市場の低迷を受けて生産調整が始まっている。日本国内全体が不景気一色になりだしている。
【DANN編集長】
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日産自動車は新長期規制をクリアしたディーゼル乗用車「エクストレイル20GT」を発売した。熱効率が高いディーゼルエンジンは自動車由来のCO2排出抑制に効果が高いと期待され、エンドユーザーの立場では経済的といえるのだが、どうか。
設定された価格は300万円弱で、2.5リットルガソリン車「エクストレイルX」と比べると47万円高い。年間1万q走れば、@軽油とガソリンの価格差1リットル当たり20円A3年後の残価設定約7割―を条件に価格差は解消可能、と日産は説明する。年間1万q以上走って3年後には乗り換えなければいけないの、とか、軽油とガソリンの価格差は20円もないよ、などといろいろ反論は出そうだが、未知の市場に対するマーケティングとディーゼル車のイメージ改善努力に敬意を表したい。
現実問題として年間1万q以上走行するユーザーがいるのは、北海道などの一部地域に限られる。このため月販目標100台の4分1を北海道で販売したいと考えているが、ディーゼル乗用車が「環境に良いアイテム」としてファッション感覚で受け入れられれば、47万円の価格差も気にならなし、長距離走行しないユーザーも乗ってみようと思うはず。
ATの設定は検討しているが、当面はマニュア車のみ。昔のディーゼル車のイメージで、カントリーロードを長距離走るユーザーをターゲットにした戦略が、クリーンディーゼル乗用車に凶と出るのか、吉と出るのか。楽しみである。
【DANN編集長】
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ガソリン価格が続落すれば、新車販売の追い風になる―。販売不振に悩む自動車業界はガソリン価格の値戻しに期待感を高めている。
2日に自販連が発表した8月の新車販売台数は、登録車が前年比14.9%減の19万3902台と、37年ぶりに20万台を割り込んだ。軽自動車も同2.8%減の11万6189台に終わった。新潟中越沖地震発生翌月ということで、昨年8月販売が反動増で膨らんだせいがあるものの、景の低迷による需要減は深刻だ。食料品価格などが値上がりし、消費者心理を冷やしている。
その中で期待がかかるのは、8月中旬から続くガソリン小売価格の値下がりだ。すでにレギュラーガソリンの実勢販売価格が160円台に突入した地域も多く、ガソリン高騰による「クルマ離れ」には歯止めがかりそう。さらに値下がり基調になれば、消費者心理も緩み、今秋予定されている自動車メーカーの新車投入との相乗効果で「下期の新車販売は前年超えもありえる」と予見する関係者もいる。
原油の国際指標となっているWTI価格は1バレル150ドルから急落し、110ドル台に落ちてきている。その一方で、国内販売価格のもとになる原油CIF価格は8月上旬で9万1049円/キロリットル(財務省)となっている。1月〜4月までの月平均が6万2000〜6万3000円で推移していたから、年初に比べ3万円近い値上がりになる。もっとガソリン価格が下がって欲しいと思うのだが、1リットル130円という4月のような価格水準は、それこそ暫定税率が廃止されない限り無理なようだ。
【DANN編集長】
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