経済産業省資源エネルギー庁は、バイオ燃料の導入に関連し「国産バイオ燃料の利用を漸進的かつ計画的に進めるべき」とする基本的指針を明らかにした。8月3、4日に東京・三田の笹川記念会館で開かれた自動車技術会主催による官・産・学連携フォーラム「GIAダイアログ」の講演で資源エネルギー庁の担当官がバイオ燃料導入政策に触れ、述べたものだ。
バイオ燃料は、米国が05年の「エネルギー政策法」で使用を義務付け、ガソリンにエタノールを10%混入する「E10」の実施が始まっている。また、すでにブラジルでは20〜25%の混合率でガソリンにエタノールを混入しているし、中国などでも混入が進もうとしている。植物由来の代替エネルギーの利用を進めることで地球温暖化対策につながるし、石油資源の不足分を補うことにもなる。日本では2010年までに50万kgのバイオ燃料を導入する目標が設定さているとともに、段階的に利用を拡大し2030年までに「E10」を実施するとの長期目標もある。
講演の中で資源エネルギー庁の担当官は、米国を例にエタノールの混入がエネルギーの安全保障に役立たないことを指摘。米国ではエタノールの使用義務付けが決まるとともに、原材料となるトウモロコシの先物取引相場が上昇、さらにこの新政策にエタノール流通網の不備が重なったことが原因で、原油価格の指標とされるWTI価格の高騰をもたらしたという。
さらに世界人口が急拡大する中で、先進国によるエタノール需要の拡大は世界的な食糧危機を招く可能性は大きく、原材料の取り合いでエタノールの安定的供給は難しいとの見方を示した。マレーシア、インドネシアなどからパーム椰子を原料にエタノールを作る計画も動き出しているが、これも世界的に需要が増えれば価格が高騰することは必至で、資源の貧しい日本としては原油ばかり混入する補助燃料も供給不安に陥る可能性がある。
こうした面を配慮すると、エタノールその他のバイオ燃料は国内で調達することが望ましいと結論付けた。たかが輸送用燃料だが、休耕田の再利用など農業政策も含めた総合政策が必要になるようだ。
【DANN編集長】
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