小型車など登録車と軽自動車を合わせた2005年の中古車販売約810万台のうち、実際にエンドユーザーが購入したものは3分の1程度にとどまった―。こうした分析が矢野経済研究所から発表された。
05年の中古車販売台数は、日本自動車販売協会連合会(自販連)が公表する登録車を対象とした中古車登録台数が前年比0.3%減の523万5千台、全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が発表する軽四輪車中古車販売台数が同4.4%増の287万台で、登録車、軽自動車を合わせて05年は810万6千台が市場に流通した。しかしその大半は業者間の取引で、実際にエンドユーザー向けに売られた台数は34%の280万台程度、と推定している。
内訳は、中古車専業者165万台、新車ディーラー系中古車販売店が115万台。
中古車販売が伸び悩んでいる原因は、とくに登録車の新車販売が低迷していることで、中古車マーケットへの供給量が減少、またユーザーの平均使用年数の長期化傾向が強まり、良質な中古車が手に入りにくくなったことなどに加え、若者の「自動車離れ」の進行など、総合的な市場環境の変化が底辺にある。
さらには、中古車の買い取りサービスが定着し、インターネットで気軽に査定してもらえるようになった。エンドユーザーは査定下取り価格を基準に仕入れ値の見当をつけ、販売価格にどれくらいのマージンが乗せてあるか、中古車販売店の足元を見る時代になった。売りづらい環境の中で、売れ筋の車両を求めたり、仕入れた車両を交換するために、ますますオークション会場を利用するようになり、販売する中古車の流通コストを上げている。
中古車1台当たりの販売で抜ける利益は限られている。結局のところ、車両販売だけで儲からなくなったのは、新車ディーラーも中古車販売店も同じだ。この結果、大手中古車専業者は薄利多売で台数拡大を一方的に追求するよりも、販売店に整備工場を併設し車検・整備に力を入れてユーザーの囲い込みを積極化する動きが活発化している。次の顧客を見つけるためだ。当然、新車ディーラーも収益基盤を強化するために、中古車販売に力を入れだしたところが多く、自動車マーケットの業態間による顧客の囲い込みは白熱化している。
【DANN編集長】
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