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経済産業・資源エネルギー庁は3月30日、石油製品需要見通しをまとめ総合エネルギー調査会石油市場動向調査委員会で報告した。それによると、自動車保有台数の伸びとともに拡大してきたガソリン需要が下降局面に入り、需要見通しを行っている07年度から11年度まで5年度連続して前年度割れするという数字を示した。
ガソリン需要が5年間連続してマイナスになるのは、需要見通しを行うようになってから初めてのことだ。ガソリンは元売り各社の収益源となっており、公的な需要予測がマイナスを強調した数字を示したことで、業界の再編を進めたいという「経済産業省・資源エネルギー庁の指導的態度がうかがえる」とのうがった見方もある。
ガソリン需要はすでに05年度に前年度比0.1%減の6142万kLと腰折れし、06年の実績見込みも1.4%減の6057万kLと減少する。背景には、新車の燃費性能が向上していること、加えて高齢化が進んだことで年間の平均走行距離が減少していることが指摘できる。自動車の保有台数は未だに微増しているが、燃費減の傾向は変わらず、加えて新車販売で軽自動車のウエートが高まっているというマイナス要因が加わる。
この結果、ガソリン需要は低迷し、07年度も0.6%減の6019万kLと縮小、08年度には5947万kLと6000万kLを割り込む。5年後の11年度は5770万kLとなり、06年度実績見通しに対する年度平均伸び率は1.0%減となるという需要の落ち込みを予測している。
ただ、燃料油全体の需要も落ち込んでおり、皮肉なことに燃料油におけるガソリンのシェアは高まる。ベースとなる06年度のガソリンのシェアは、暖冬で灯油が低迷したため、27.3%と高め。これに対して11年度は28.5%に引き上がる。
現在、元売り各社はスタンドを直営化し、収益性の高いガソリン販売を強めている。燃料油におけるガソリンシェアの高まりで、この傾向に拍車がかかることになりそう。資源エネルギー庁は「それぞれの立場で考えてもらいたいとは思うが、統計は恣意的なものではない」と、再編含みがあることは否定する。しかし、ガソリンの販売競争で力尽きれば、再編というシナリオも見えてくる。
ちなみに軽油も物流の合理化が進み、減少傾向に向かう。06年度の実績見込みは前年度比2.1%減の3636万kL。07年度は同1.3%減の3587万kLで、その後5年間平均すると1.5%減で落ち込み、11年度の需要は3375万kL程度になるそうだ。
【バス狂】
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