10月の新車登録は26万9221台で、前年同月比0.2%増となり、2005年6月以来28カ月ぶりに前年実績を上回った。しかし、同月の軽自動車販売は7.3%減の13万6994台にとどまったため、総販売台数は1.3%減の40万6215台で前年割れが19カ月連続している。
前年割れを続けてきた登録車が上向いたわけだが、半面、景気は下向きだ。さらにガソリン価格の高騰を始め、食品関連などの生活必需品で値上げ発表が続いており、生活の負担感が増している。新車販売は依然、予断を許さない状況であることに変わりない。
10月販売で前年を上回った要因について、日本自動車販売協会連合会は、東京モーターショーに向けて8、9、10月と各社が新車を出し、マーケットを盛り上げた効果と、登録の稼働日が前年より1日多かったことにある、と分析する。
とくに新車攻勢で、トヨタががんばった。「ヴォクシー/ノア」「プレミオ/アリオン」「イスト」「マークX ジオ」「カローラ ルミオン」と立て続けの新車投入と販売力で市場全体をけん引した。トヨタ、レクサスの両ブランドを合わせた10月の登録車販売は13万8916台で、シェアは単月で51.6%(うち1.0%がレクサス分)と5割を超えた。
半面、このトヨタの半数超えが、「新車販売にとって危険シグナル」と自動車販売の専門家は指摘する。販売力があるトヨタが、前年越えを目指した「J100」を掲げて取り組んだことだから、ある程度の結果が出るのは当たり前。シェアは相対的なものだから、攻勢をかけれなかった自動車メーカーがいるため、結果的にトヨタのシェアは半数を超えた。
実際、モーターショーの現場に行くとよくわかる。人は集まっているのだが、往年のように若い熱気であふれた会場ではなくなった。やはり、年配の姿が目立つのだ。それと、毎回、人が歩けないほど集客するホンダのブースが、それほどでもなかった点も気にかかる。数字は浮き沈みがあるものだけれど、やはり「若者の自動車離れ」が進んでいるようで、これでは市場に活気が戻りそうもない。
【DANN編集長】
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